「ごめんね、達也。お母さんを許してね…」 「……お母さんって言っても、義理のでしょ? 本当のお母さんじゃないじゃん」 「それなら、今のこれも……『ごっこ』なんですか?」 「…お邪魔みたいだから、さよなら」 「お願い、ここにいて? 優香ちゃんを追わないで…」 「……しちゃいましたね。お兄ちゃん離れ」 …所詮、家族なんてこんなものさ。 …審判の時は来た。 全てを終わらせる一言が、屋上に、そして俺の心に、 静かな余韻を残していく。 伸ばした手は、優香に届かなかった。 でも、それを悲しいとは思わなかった。 優香の真っ直ぐに伸びた背中を見て、今までの自分が 決して間違いではなかったと自惚れることができたから…。