2003/06/01 (日) 11:38:46        [mirai]
ところで、ギロチンで首を切られた瞬間、 
その人間は本当に絶命するのだろうか。それとも、切られた直後は、まだ生命
があるのだろうか?誰でも、一度ぐらい、こんな疑問を感じたことがあるだろう。

1879年、二人の医者が、殺人犯の切り落とされた首に、まだ生命が残って
いるかどうかを調査した。しかしこのときは残念ながら、首は切られて5分
もたってから彼のもとに届いたため、思わしい結果は得られなかった。

翌年に、今度はリニエール博士が、ショッキングな実験をおこなった。切ら
れて3時間もたった殺人犯の首に、生きた犬の血をポンプで送りこんだのだ。
するとなんと、反応があった。顔に赤みがさし、眉と唇が一瞬、ピクリと動
いたのである! 

しかしあとで冷静に考えて、これが一種の反射神経に過ぎないことに思いい
たって、がっかりした。ふつう脳は、3時間も血液がまわらなければ、すで
に死んで機能する力などないはずである。しかしそれはともかく、この実験
以来、同博士は熱心な死刑廃止論者になったという。

さらに1905年には、もっとショッキングな実験がおこなわれた。ボーリ
オという医学博士が、ある死刑囚の処刑直後に、切られた首を調べたのだ。

博士は報告書に書いている。
「死体の眉と唇は、5、6秒間、不規則な引きつりを見せた。

それからやがて動かなくなり、顔はたるみ、瞼(マブタ)はかすかに開いて、白眼しか見えなくなった。

私が大声で名前を呼ぶと、瞼が少しずつ開き、ちょうど眠っている人間が目
覚めたときのような、緩慢な動きを見せた。

やがてその目は私をじっと見つめた。瞳孔は狭くなったが、死人のような無
表情な目つきではない。たしかに生きている人間の目だった…」

同医師の報告によると、またしだいに瞼はふさがったが、再び大声で名前を
呼ぶと、また瞼が開き、じっと医師を見つめてから目が閉じられた。しかし
三度目には、呼んでももうピクリとも動かなくなり、眼球はすでにガラス状
になっていたという。首が切り落とされて、約30秒後のことである。

切り落とされた首に、しばらくは意思があるかどうかという点では、いまだ
に医学会の意見は一致していない。切り落とされて酸素がかよわなくなった
首が、死後2分間ほどはかすかに動くことも、ままある。しかしその後は、
死んでしまうことは確かなのだ。

だが、問題なのは、その2分間である。そのあいだ、切られた脳が、自分のこ
うむった惨状を記憶している可能性はあるのだ。

それにしても、人間が最後の瞬間まで、今 自分が死につつあるのだという
認識をはっきり持ちながら死んでいかねばならないとは…?残酷な話ではな
いか。

「どうせ死なねばならないなら、死刑囚をできるだけ苦しませずに死なせて
やりたい」という、ギヨタン博士のありがたい意図にも関わらず、落とし斧
の斬首刑では、それはまだ果たされていないようだ。