2003/06/09 (月) 17:02:01 ◆ ▼ ◇ [mirai]昔の話。
闇金融の仕事をしていたある年の夏の話。
ある家に、追い込みをかけに行った。
親はとっくに消えてた。子供2人を残して。
5歳の男の子と、3歳の女の子。
いっしょにいた兄さんよりは、顔が怖くなかったようで
俺はすぐに下の子になつかれた。
ぼろぼろの服。風呂にも入ってない。
「親はいつ消えた?」と聞いても答えない。
「何食べてた?」って聞いたら、上の子は泣きだした。
下の子は「こっち…」と、俺の手を引いて、家の裏に連れていった。
破れた金網を通り、出たところは小学校の裏庭。
「あのね、これ食べたの」って池を見る。
嫌な予感はしてた。その池、金魚が泳いでるんだ。
そういえば家のテーブルに小さいボウルと茶碗があった。
「金魚…食ってたのか…?」と聞くと、2人は頷いた。
滅茶苦茶やるせなくて涙が出た。兄さんも泣いた。
急いで兄さんは、食べ物と服を買ってきた。
その後、近くの銭湯へ行き、2人の体を洗ってやった。
俺達では、どうにも出来ないと考えて施設に連絡を入れた。
しばらくして施設から迎えが来た。
俺達に「ありがとう」と言い、家を出ていった。
全然ありがとうじゃねえ。
俺たちがお前らの親を追いつめた。
せめてもの救いは、あの2人の親がちゃんと出てきた事だ。