愚かな若者

彼らはうかれており、いつもなにか面白いことを言ってやろう、してやろう
と考えている。くだらない下品なショート・ジョークを連発したり、ビール
ばかり飲んだり、思慮の欠けた行動をとる。大抵、気のあった相棒がおり、
二人でかけあい漫才をやったりする。慣れた観客は彼らを見て、「今のうちに
騒いでおれ。すぐ死ぬってのに愚かな奴だ」と心中思う。決定的なのは、
彼らが何かイタズラをした時だ。このイタズラは他愛もないものだが、ストーリー
からするとシャレにならないものが多い。怪人マスクをかぶって女の子を
おどろかしたり、死んだフリしたり、水の中から仲間を襲ってビックリ
させたり、といったものである。彼らがこういう行動を取ったら要注意だ。
あなたは彼らが、彼らがとったイタズラのシチュエーションで殺されると
考えなければならない。しかし、彼らに警告をしても無駄だ。彼らは「まさか」
と大げさに笑って、小馬鹿にしたギャグで返してくる。こうして彼らはさらに
己の死臭を高める。また、最も気を付けなければならない事がある。彼らも
バカではないので、「二度も同じイタズラはやらない」ということである。
もしまた何かイタズラめいたことが起きても、油断してはならない。
「まあ、ポール、またあなたなのね？　まったく、いい加減してちょうだい」
などと早とちりしてはいけない。二度目は間違いなく殺人鬼だ。