2003/06/13 (金) 14:38:56 ◆ ▼ ◇ [mirai]~1914年、ボスニア、首都サラエボ~
運命に導かれたナージャは、今日もダンデライオンの一人として、さほど上手い訳でもないダンスを
一生懸命に練習していました。
「ナージャは、ダンスはさほどうまくないけれど、どこの国に行っても男だけは引っ掛けるのよね」
影で見ていた、一座の華、シルヴィ・アルテは言った。
その横で、可愛い猛獣使い、リタ・ロッシも言った。
「そうよ。ナージャなんて、少し見た目が良いからって、実は貴族だからって、調子ぶっこきまくりよね
大体、あんな何も芸のないやつがこのダンデライオン一座にいること自体おかしいのよ。
ダンデライオンのトップスターは、なんと言ってもこの私、リタ・ロッシに決まってるじゃない。
ダンデライオンのライオンって言うのは、私の下僕、クリームとショコラの意味なのよ。
それなのに座長ったら、『奇跡の舞姫ナージャ』だなんてチヤホヤしちゃって、馬鹿みたい。
そうよね、シルヴィ?」
リタが言う終わるか否かというときに、赤い閃光が、通常の3倍のスピードで彼女の額に直撃した。
その閃光の正体が、ナージャの放ったバトンだと、輝く太陽が認めたかどうか。
「何か言った、リタ?」
「アウアウアー」
「そうよね、何も言ってないわよね。貴方、何もしゃべれないはずだものね。」
「アウアウアー」
リタが何か言おうとすると、ナージャがリタをぶん殴る。それが一座の日常だ