昔の人は山で遊ぶとよく殺された。鬼も天狗も山賊もみんな人を殺すもの だった。食らうものもいた。親も、いらない子供には「山で遊んじゃいけ ねえぜ」と言うことはなかった。性交の場を山に求める若者達もよく 殺された。山は人が死ににいく場所だった。老人は自分が不必要な存在に なった頃、自ら進んで山に迷い、獣や鬼に食われた。天狗や山賊は老人の 肉は食わなかった。不味いのだ。里で人を殺し過ぎたもの、追放された ものたちは山に入って鬼になった。天狗になるのは空を飛ぶことが出来る 生まれついての不幸者だった。山賊はただの自堕落な集団だった。