「つまり」 彼女は不機嫌そうな顔のまま言った。 「やっぱり誰もいなかった、ってわけ」 「簡単に言えばそうなるね」 不機嫌な女性には慣れている。こういう時に目を合わせるのはやめた方がいい。 「でも」 「何よ」 「コンビニに新しい雑誌が並べてあった」 「それが何……」 言いかけて彼女は黙った。理解してくれたようだ。 「ただ、元に戻ってるだけじゃ無いって事?」 「イコール誰かがいる、って訳じゃなさそうだけどね」 彼女の顔が一層不機嫌になった。無理もない。