新聞に目をやりながら、煙草に手を伸ばす。箱が空になっていることに気付き、それを握り潰してゴミ箱へ投げ捨てた。ふちに当たり床に落ちたのを見て舌打ちをし た。 煙草を買うためにサンダルを履き、引き戸を開ける。外は腹の立つぐらいいい陽気 だった。俺はこんな天気のいい日の昼間が大嫌いだ。俺が一歩外へ出ただけで近所 の能無し主婦どもが俺のことを噂するからだ。