2003/07/11 (金) 19:49:36 ◆ ▼ ◇ [mirai]死刑を廃止しないから日本は厳罰、と誤解している向きもあるようですが、
実は日本は世界有数に刑罰の軽い国です。人1人を殺して平均懲役8年と言う
と、先進国発展途上国を問わず一様に驚かれます。情状を考慮して執行猶予
になることもよくあります。
実際、何の落度もない者を惨殺しても被害者が1人だと15年がせいぜいです。
無期懲役刑(「終身刑」ではなく、10年経てば仮釈放の対象。平均約20 年)
になるのは保険金目的だったり、身代金目的誘拐や強盗・強姦といった罪名
がくっついている場合、あるいは被害者が複数の場合に限られます。
ましてや年5件にも満たない「死刑」のほとんどは鬼畜のような強盗殺人です。
それもついても寛刑化が進み、複数を殺さなければ死刑にはなりにくくなって
きました。死刑の存置先進国は日本だけ(あとアメリカの約半数の州)、野蛮
だと非難する人たちは、他国では犯人を容易に撃ち殺して簡易の死刑を執行し
ている(summary execution)現実を無視しているのです。
元々寛刑のこの国で、少年はさらに寛大に扱われているのです。少年法上は何
の制限もなく死刑を科せられるのに、「少年法の意を酌んで(?)」罪一等を
減ずる判決さえ現れています。
最近では、山口県光市における強姦殺人事件がそうでした。
18歳少年が若妻を強姦しようとガムテープと紐を用意し、水道配管工を装って
侵入。若妻の首を両手で絞めて仮死状態にしたうえ、ガムテープで手を縛り口
を覆って強姦、その後11か月の赤ん坊を床に叩きつけて紐で絞殺。2人の遺体を
押入れに隠して財布を奪った後ゲームセンターで遊び、財布の中にあった地域
振興券で買物をし、何食わぬ顔をして友達を雑談をしていたのです!
被害者は2人。検察の当然の「死刑」求刑に対し、一審「無期懲役」(1999.4)。検察控訴に対し、控訴棄却(2002.3)。最高裁に上告中です。
近代法は個人の報復権(敵討ちの権利)を奪い、国家に独占させました。
それはすなわち国家が個人の報復感情を満足させるに足る刑罰を科す義務を負
わされたということです。将来にわたって改善更生が許されている犯罪者に対
し、何の落度もなく一方的に生を断ち切られた被害者(それも苦悩と恐怖を味
わいながらの理不尽な死なのです)、そしてその冷徹な事実を一生引きずって
いかねばならない遺族。あまりに正義を欠いているというべきです。
少年はどうやら4人を殺して初めて「死刑」なのでしょうか。永山則夫事件
(1968~69)、そして市川一家4人殺害事件(1992)。どちらも犯人は犯時
19歳でした。