>  2003/07/26 (土) 01:55:11        [mirai]
> > これがネタバレってやつか(ノД`、)
> どれよ?
> もしかして漏れ?(;´Д`)

7月28日
金
/そら
僕は空の下にいる。
ずるっ…ずるっ…ずるっ…
そうして、一日中人形を動かす。
夕暮れになると、ねぐらに帰る。
そして、みすずと男のそばにいる。
歩けなくなったみすず。
男はとても悲しそうに、みすずを見守っている。
僕は…。
僕はそばにいてあげないといけない。
でも、僕はそばにいてはいけない。
ふたつの気持ちが重なっている。
だから僕は、どうすればいいか、わからないでいる。
僕はぬいぐるみを見た。
首が長くて目が丸くて、体がふわふわしている。
たぶん、ぬいぐるみは生き物じゃない。
ぬいぐるみは、人形だ。
人形は、誰かが動かそうとしなければ動かない。
だから、僕が動かそうと思った。
つんつん。
ころり。
口でつついてみると、ぬいぐるみは地面に倒れた。
もう一度やってみようと思った時。
「つかれた…」
「ほら、もうひとがんばりだから」
声が聞こえてきた。
ざくざくっ…
足音が近づいてくる。
僕は草の影に隠れた。
お母さんと女の子だった。
二人で毎日ここに来て、あの建物の前でじっとしている。
僕のことに気づかずに、通り過ぎていった。
「ほら、お参りしましょう」
建物の前で、並んで足を止める。
…がらがらがらっ。
にぎやかな音。
そして、お母さんが両手を合わせた。
「…まいかはお願いしないの?」
女の子は手をだらりと下ろしたままだった。
「うん…」
「どうしたの?」
「かみさまってほんとうにいるのかな…」
「いるわよ」
「おかあさんは、みたことあるの?」
「目には見えないの」
「なぁんだ」
女の子はつまらなそうに言った。
「だって、目にみえないってことは、いないんだよ…」
「そんなのにお願いしたって、お姉ちゃん、よくならないよ…」
お母さんがやさしそうに笑った。
「そんなことない」
それから、女の子の頭を撫でた。
「願いごとはちゃあんと届くの。お母さんは知ってる」
「でもね。お願いするだけじゃダメよ」
「まいかがうんと頑張れば、神様は必ず見ててくれる…」
「きっと願いを叶えてくれるの」
「今も、神様が見てるよ。しっかりしないと」
「ほんと…?」
きょろきょろ。
女の子の目がこっちを向く。
「いた!」

参考:2003/07/26(土)01時54分36秒