2003/08/02 (土) 13:36:50        [mirai]
 近代国家(国民国家)とは、18-19世紀のヨーロッパの王侯貴族たちが、
自分たちの利権を拡大するための戦争に、安上がりな方法で地域の人々に協力
させることを目的として作られた、という歴史観(国家戦争装置論)がある。

 近代国家になる前の国家では、戦争は傭兵(職業軍人)どうしが行うもので、
一般民衆は破壊の被害を受けることはあっても直接の当事者ではなかった。と
ころがフランス革命などを機に近代の国民国家システムが作られ、人々は「民
主主義」という制度のもとに参政権を与えられる半面、国家を愛する義務を負
い、税金を払い、戦時には徴兵に応じる「国民」となっていった。

 これは王侯貴族など国家の支配者にとっては、国民を自発的に国家に協力さ
せ、傭兵に莫大な金を払わなくても「愛国心」を煽る教育(洗脳)だけで一般
国民を献身的な兵士に変える画期的な方法だった。国家はしだいに「国民のも
の」という性格を帯びたが、王侯貴族らはうまく政権の中枢を握り続けられる
ように画策し、上手に政治を動かして「国民主権」をお題目だけのものにし続
けた。安上がりに「国民皆兵」を実現した国民国家は、旧来の傭兵システムの
封建国家よりも戦争に強かったから、ヨーロッパ諸国はこぞって国民国家制度
に移行した。