「お客さん。どの鰻を裂きましょうか」 「この店は鰻を選ばせてくれるの」 「背中の色が緑がかった青色。これをアオといって鰻の中の特級品ですよ」 三十分以上かかっても客は待つ。 「炭は純粋な炭素だから水蒸気は出ません。赤熱した炭の上に鰻の脂とタレがかか って蒲焼の香ばしい香りとなるんです。そして、鰻の風味ほど失われやすいものは ない。炊きたての熱いトンブリ飯の上に、焼きたての蒲焼、これが一番うまいんで す。鰻を一旦裂いたら渋滞なく白焼きにして蒸して、タレをつけ、焼いて、そのま ま一気に客に出すのです」 ウナギ(:_;)