2003/08/20 (水) 09:24:37        [mirai]
星野「もう、いいよね」
阪神「ん? なにがや?」
星野「わたし、がんばったよね」
阪神「なに、言うてんるんや?試合終了までまだあるで手、抜いたらあかんで」
阪神「星野監督やったら、出来る。もっと頑張れる。優勝までいける」
星野「…もうゴール、していいよね」
星野「後、ストライク一個、そこまで辿り着いたから、もう交代していいよね」
阪神「そか、もう疲れたか」
阪神「よし、この試合勝ったら、甲子園に帰ってビールかけでもして、遊ぼか」
星野「ううん…わたしの継投ずっと目指してきた勝利の方程式」
阪神「…は?わからへん。監督がなんのこと言うてるか、うち、わからへん」
星野「わたし、がんばったから、もういいよね、投手交代しても…いいよね」
星野「には…は…」
阪神「え…あんた…まさか…換えるんか?ほんまに…ピッチャー換えるんか?」
星野「……」
阪神「嘘や…嘘や、言うてや…これからあんた…元気になって行くんやろ?」
阪神「悪い夢は終わったはずやろ…?せやろ…?な、監督…嘘や言うてや、監督」
星野「ごめんね、阪神さん…でもわたしは、ぜんぶやり終えることができたから…」
星野「だから、交代するね…」
阪神「あかん…まだ…頑張るんや、監督は、これから、まだまだ頑張るんや…」
阪神「ゴールは、まだまだ先や…ずっと先にあって」
阪神「こんなところ(4月11日 阪神-巨人1回戦) にはあらへん…あらへんはずや…」
星野「交代…するね」
阪神「あかん…監督きたらあかん…交代告げたらあかん…シーズン始まったばかりやんか…」
阪神「去年、やっとスタートきれたんやんないか…」
阪神「ずっときれへんかったスタートやっ…これから取り戻してゆくんや…」
阪神「十五年前、始まっていたはずの幸せな暮らし…」
阪神「これから、阪神は取り戻してゆくんや…」
阪神「打って、守って、取り戻してゆくんや…せやのに…せやのに」
阪神「なんでもう交代なんや…まだまだある…まだこれからやんか…」
阪神「なにもかも、始まったばかりやんか…阪神の幸せは始まったばかりやんか…」
星野「ううん…ぜんぶ、した、なにもかも、やりとげた」
星野「もうじゅうぶんなぐらい…このストーブリーグに一生ぶん楽しさがつまってた」
星野「すごく楽しかった」
阪神「あかん、ちがう…まだまだや…これからや…阪神、なんもしてへん」
阪神「星野監督になって、なにひとつしてへん…」
阪神「うち、たくさんしたいことあるんや…大好きな監督と」
阪神「たくさんしたいことあるんや…全部これからなんや…」
星野「阪神さんと、たくさん思い出つくった」
星野「いっしょに昨シーズン終えたり、前半戦折り返したりした」
阪神「そんなん…これからも、いっぱいしたる」
星野「オールスターもいっしょに出た」
星野「この金本さんも、広島からつかまえた、宝物できた」
阪神「まだ来年もあるし、再来年もある…」
星野「もう一度だけがんばろうと決めたこのペナント…野村さん(現シダックス)と出会った」
星野「あの日からはじまった、ペナント…いろいろなことがあったけど…」
星野「わたし…がんばって、よかった、つらかったり、苦しかったりしたけど…」
星野「でも…がんばって、よかった、ゴールは…幸せといっしょだったから」
星野「わたしのゴールは幸せといっしょだったから」
星野「ひとりきりじゃなかったから…」
阪神「そうや。星野監督はもうひとりきりやない、ずっと、うちと一緒や」
阪神「せやから…監督…」
星野「だから…だからね…もうピッチャー換えるね…」
阪神「あかん…あと一球やっ…あと一球や言うてるやろっ…」
(とて…)
阪神「監督…きたらあかんっ!あと一球や言うてるやろっ!」
(…とて…)
(……とて。)
星野「ピッチャー藤川っ」