啄木が塔下苑に戻ると、 玄関に日記が置いてある。 しかも日記の右半分は欠けていた。 えらいことになった。 昨日、歌の執筆があんまりおかしいので笑った。 そのあと、凌雲閣のいただきでは執筆を侮辱することは、 本人を侮辱することに等しいのだ、と諭されたが、 まさかあれがほんとうに侮辱に当たるなんて。 明日までに日記の右半分を探さなければ 啄木の命はない。