>  2003/10/19 (日) 04:44:02        [mirai]
>  ADの仕事中、久しぶりに由綺に会った。
> 「忙しいんだって?」
> 「うん、急に仕事がいっぱい入ったの」
>  少し疲れた様子ではあるが、由綺はうれしそうに答えた。
> 「へえ、で、どんな番組なんだ?」
> 「えっとね、『ヤンヤン歌うスタジオ』でしょ、『たのきん全力投球』でしょ、
>  『ヤングおー! おー!』でしょ、『凸凹大学校』でしょ」
>  ちょっとまて。
> 「……由綺」
> 「なに、冬弥君?」
> 「俺の記憶するかぎりではそりゃ全部かなり昔の番組で、しかも放送終わってるぞ」
> 「ええっ?」
>  由綺は驚いている。
>  つーか、気づけ。番組表見れば分かるだろう。
> 「そ、それじゃあ『見ごろ食べごろ笑いごろ』も?」
> 「当たり前だ!」
> 「そんなあ……徹夜で電線音頭の練習したのに……
>  小松の親分さんの横で太鼓たたく係に決まってたはずなのに……」
>  するな。
>  アイドルの仕事かそれ?
> 「じゃあ、あれもダメなんだ……『どんなもんだいQてれび』」
>  ……しらねえ……。
> 「どんQポーズの練習もしたんだよ!
>  もちろん完徹で!ほら『ど~ん、Q~』って感じで!」
>  するなよう……。
> 「大体だれがそんな仕事入れたんだ?」
> 「弥生さん」
>  がたんっ!
>  突然ロッカーが倒れ、扉が開いた。
> 「弥生さん!?」
>  ぐるぐる巻きに縛られたうえ、猿ぐつわまで。
> 「一体だれがこんなことを? じゃあいままでの弥生さんは一体……」
> 「罠です」
>  氷のような弥生さんの口調に、やや怒りの熱が感じられる。
>  ウラミハラサデオクベキカ、とその冷静な顔に書いてあった。
> 「ただいま戻りました」
>  激しいトレーニングの手を休めた綾香は、声に振りかえる。
> 「ご苦労だったわね。首尾は?」
>  感情のかけらも感じさせない声で、篠塚弥生は答えた。
> 「完璧です。森川由綺の出演スケジュールを大幅に狂わせました」
>  答えながら耳カバーを装着し、流れる黒髪をひきはがす。
>  その下からあらわれる、朱色のロングヘア。
> 「これで本来森川由綺の出演する予定の番組はすべて中断、タイムテーブルの変更で
>  深夜枠に組みこまれたエクストリーム大会の中継がゴールデンに移動します」
>  HMX-13セリオは完璧な働きをしめした。
>  綾香は満足そうに笑う。
> 「ふふふ、完璧ねセリオ。森川由綺には悪いけど、今回は泣いてもらうわ。
>  この『エクストリーム放送をゴールデンに持ってって一気にファン層拡大しちゃおう計画』
>  の犠牲になってもらうのよっ」
>  ぐぐっと拳をにぎりしめる綾香。
> 「そしてエクストリームは全国的に大流行……幼稚園児から老人ホームのお年よりまで
>  ブラウン管に釘付けで、そんでもってあたしのトレカやらクレーンゲー人形やらが
>  女子高生を中心にそりゃもうバカ売れ……」
> 「トレーニングお疲れさまです。スポーツドリンクはいかがですか?」
> 「ん、気がきくわねセリオ」
>  受け取って飲む綾香。とたんに表情が変わり、床に崩れ落ちる。
> 「……セリオ!? これは一体……」
> 「はい。筋肉弛緩剤などを少々」
>  がたん。
>  ロッカーが倒れ、中から特殊ワイヤーで亀甲に縛られたセリオがあらわれた。
> 「はっ!? セリオが二人?」
> 「残念ですが、由綺さんの仕事を妨害した方を放置しておくわけには行きません」
>  ばっ。
>  耳カバーと朱色のロングのカツラを取り去る。
>  百合系ジャーマネ篠塚弥生、参上。
>  タイをほどき、ブラウスのボタンを外しはじめる。
>  するっとストッキングを下ろすと、綾香は見る見る青ざめた。
> 「見たところ経験はおありのようですが……」
>  黒い下着姿になった弥生は口の端をつり上げて笑った。
>  綾香の震えるあごをくいっと持ち上げ、
> 「女性のほうは初めてですか?」
> 「ひいいいいいいいいいいっ」
> 「気を落とすなよ由綺。おかげでどうにか仕事のほう間に合ったんだし」
> 「シラケ鳥の着ぐるみ、着たかったのにな……」
>  だが、あのメイドロボのとってきた仕事のうち、ひとつだけは本物だった。
>  『探偵ナイトスクープ』のレポーター。
>  ナゾのパラダイスの取材だ。
> 「やいやい言うなー! 気ィ悪いわー!」
>  よかったな、由綺。

漏れが長文貼ると、しばに怒られるのに(;´Д`)

参考:2003/10/19(日)04時43分04秒