「オッス」 「オッス」 さわやかな朝の挨拶が、済みきった青空に連呼する。 カツジさんの公園に集う益荒男たちが、今日も軍神のような厳つい笑顔で、背の高い 門をくぐり抜けていく。 汚れを知らない肉体を包むのは、清い色の褌。 六尺褌の腰紐はいなせに捻り、白い前垂れは翻らせないように、ゆっくりと歩くの がここでのたしなみ。もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたな い益荒男など存在していようはずもない。 私立浅草24男学園。 明治27年創立のこの学園は、元は士族の子息のためにつくられたという、伝統ある 神道系お坊ちゃん学校である。