「日本書紀」には、人非人の東人(関東人)についてこう記してある: 東の国の人々は性質が凶暴で乱暴ばかりしている。 国を治める人がいないので、領地争いばかりしている。 山には悪い神、野には悪い鬼が住んで、道を通る人に悪いことをしたり、苦しめたりしている。 中でも最も強いのが蝦夷(えみし)である。蝦夷は男と女が雑居して暮し、親子の礼儀を知らない。 冬は穴に住み、夏は木の上で暮らしている。 獣の皮を着て動物の血を好み、兄弟は中が悪くて争ってばかりいる。 山を登るときは鳥のように速く、獣のように野原を駈けまわっている。 人から恩を受けてもすぐに忘れるが、人に恨みを持つと必ず仕返しをする。 自分の身を守ったり、仕返しをするためいつも頭の髪に矢を差し、刀を隠し持っている。 仲間を集めては、朝廷の国境に侵入して農家の仕事を邪魔し、 人を襲っては物を奪ったりして人々を苦しめている。 征伐するため兵士を差し向けると、草に隠れたり、山に逃げたりして、なかなか討つことができない。