2003/11/09 (日) 06:35:04 ◆ ▼ ◇ [mirai] じっくりと聴かせて浸らせる楽曲を中心とした内容で、自身もファンも満
足させる傑作となった前作「花降り月夜と恋曜日。」。今回のアルバム「蒼
空に揺れる蜜月の小舟。」は、そんな前作で培われた成果をきっちりと発揮
しながらも、比較的派手めでわかりやすいポップナンバーに主眼を置き、さ
らには新境地と呼ぶに相応しい楽曲までも披露するという、なんともサービ
ス精神に溢れた仕上がりとなった。これまでのアルバムよりも明らかに間口
の拡がったその内容は、田村ゆかり入門用としても最適なものといえるだろ
う。 ~~~~~~~~~~~~~~~~
いわゆる声優アーティストも人気が出てくると、著名な作曲家、著名なミ
ュージシャンがどれくらい参加しているか、という点を売りにするようにな
ってきたりするものだが、田村ゆかりは現時点ですでに人気声優アーティス
トでありながらも、あくまでアーティスト本人のキャラクターで勝負してい
る。楽曲や演奏のクオリティがアーティスト本人の魅力を超えて評価される
ことも珍しくない昨今、"まず本人のキャラクターありき"という姿勢を貫き
つつ人気を維持していくことは、当たり前のようでいて実は結構難しいこと
なのではないだろうか。
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自身が元から持っているキャラクター、そして自身に求められているキャ
ラクターをしっかりと把握しそれを完璧な形で具現化。"キュート"であるこ
とを前提にしながらも、様々なジャンル、スタイルを貪欲に取り入れ、ファ
ンの期待を裏切ったかと思えば、必ずやその期待以上のものでファンを魅了
し続ける田村ゆかり。彼女のことをまだ知らないという人は、むしろ今回の
アルバムから聴いてみてほしい。声優ファンだけのものにしておく時期は、
もう過ぎてしまっているのだから…。