2003/12/08 (月) 01:11:17 ◆ ▼ ◇ [mirai]夫、人間の浮生なる相を、つらつら観ずるに。
おほよそはかなきものは、
この世の始中終、まぼろしのごとくなる一期なり。
されば、いまだ萬歳の人身をうけたりといふ事をきかず、
一生すぎやすし。
いまにいたりてたれか百年の形體をたもつべきや、
我やさき、人やさき、
けふともしらずあすともしらず。
おくれさきだつ人は、
もとのしづくすゑの露よりもしげしといえり。
されば、朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり。
すでに無常の風きたりぬれば、
すなはちふたつのまなこたちまちにとぢ、
ひとつのいきながくたへぬれば。
紅顔むなしく變じて、
桃季のよそほひをうしなひぬるときは、
六親眷屬あつまりて、
なげきかなしめども、更にその甲斐あるべからず。
さてしもあるべきことならねばとて、
野外におくりて夜半のけむりとなしはてぬれば。
ただ白骨のみぞのこれり、
あはれといふも中々をろかなり。
されば人間のはかなきことは、老少不定のさかひなれば。
たれの人も、はやく後生の一大事を心にかけて。
阿彌陀佛をふかくたのみまゐらせて、
念仏まうすべきものなり。
あなかしこあなかしこ。