2003/12/09 (火) 09:50:38        [mirai]
(´ H` ) 夫、人間の浮生なる相を、つらつら観ずるに。
        おほよそはかなきものは、
        この世の始中終、まぼろしのごとくなる一期なり。
        されば、いまだ萬歳の人身をうけたりといふ事をきかず、
        一生すぎやすし。
        いまにいたりてたれか百年の形體をたもつべきや、
        我やさき、人やさき、
        けふともしらずあすともしらず。
        おくれさきだつ人は、
        もとのしづくすゑの露よりもしげしといえり。
        されば、朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり。
        すでに無常の風きたりぬれば、
        すなはちふたつのまなこたちまちにとぢ、
        ひとつのいきながくたへぬれば。
        紅顔むなしく變じて、
        桃季のよそほひをうしなひぬるときは、
        六親眷屬あつまりて、
        なげきかなしめども、更にその甲斐あるべからず。
        さてしもあるべきことならねばとて、
        野外におくりて夜半のけむりとなしはてぬれば。
        ただ白骨のみぞのこれり、
        あはれといふも中々をろかなり。
        されば人間のはかなきことは、老少不定のさかひなれば。
        たれの人も、はやく後生の一大事を心にかけて。
        阿彌陀佛をふかくたのみまゐらせて、
        念仏まうすべきものなり。
        あなかしこあなかしこ。