かつて、SFが熱烈に支持された理由の一つとして、意図的かどうかは分からないが、 SF大会などに作家が積極的に現れて、クリエイター神話というニーズに応えていたこと がある。 クリエイターとなることができない一般大衆の自意識は、クリエイター神話に帰属し、 自分がクリエイターのサポーターであるかのような錯覚に陥ることで救済される構造 になっていたのだ。 しかし、ある時期から、あるいは作家が沈黙し、あるいは「文化人」の仲間入りを 果たしたしまったことで、神話は中断してしまい、その神話を引き継ぐ者がいなかっ たことが、現在のアニメファンの潜在的な飢餓感となっている。 自分の好きな作品を他人に無闇に勧める人間や、自分がある作品を嫌っていること を声高に喧伝する人間、自分が属している訳でもない 「『業界』の行く先」 を本気で 案じ語る人間がアニメファンに多いのはこのためである。