羽を焼かれためじろが地べたを跳ねていた しらぬ間に左腕を火傷し 髪留めが髪のこげついていた 死体を平気でまたいで歩くようになっていた 時々踏んづけて灼けた皮膚がむけて滑った 地面が熱かった靴底が溶けてへばりついた わたしは腐ってないおばあさんを冷静に選んで 下駄を盗んで履く人間になっていた あれから十年 しあわせだと思うたび 美しいと思うたび 愛しかった都市のすべてを 人のすべてを思いだし すべて失った日に 引きずり戻される おまえの住む世界は ここではないと 誰かの声がする