2004/01/16 (金) 09:33:08 ◆ ▼ ◇ [mirai]老人は長年捜し求めていた夢を、
もう少しで手に入れられると思うと、
体中が震えた。スカンジナビアに始まって、
ヨーロッパ各地を転々と旅をし、シルクロードを
通ってついにインドへたどり着いたときには、
30年の歳月が流れていた。
「長い旅だった。大学院での考古学研究で出会った
”キサナドゥ”の伝説・・・破壊神が暮らし、
世界の始めと終わりの場所・・・。これが実在した都市だと確信
して以来、その場所を示す古文書を捜し求めてここまで
たどり付いてしまった・・・。」
彼はバンガロール近くのヒンドゥー寺院で、院長が目的
の古文書を蔵から運ぶのを待ちながら独りごちた。
怪しげな雰囲気のその院長がうやうやしく運んできた
古文書には、古いヒンドゥーで「キサナドゥ」と発音できる
文字と、古代文字の数字が書かれていた。
「北・・35・22・41・218・・・東・・139・55・45・757・・・
これは北緯と東経だ!やったぞ!そこにちがいない!」
狂喜乱舞しそうな勢いで世界地図を取り出した彼は、
大まかなあたりをつけた。
「何と!日本の中じゃないか!」
詳しい日本地図を出し、北緯を右手の人差し指、
東経を左手の人差し指でたどった。両手の人差し指が
出会った場所を、彼は恐る恐る見た。
そこは「木更津」だった。