登山家なら誰でも一度は登る有名な谷川岳という険しい山がある。 その山の一ノ倉沢というところはことに険しい難所だ。 毎年ここで遭難する人は何人もいるのだ。そしてここにも一人の娘が遭難していた。 そして娘を捜しにやってくるブラックジャック。山に霧がたちこめる。 「畜生。この霧は帯電している。無線機が使い物にならん」 とにかく岩陰に避難するブラックジャックと女。娘は目が見えなくなる。 「先生。私の病気知っている。緊張病というのよ」「知っている。精神分裂症の一種だ」 「死ねばさっぱりするわ」「それでこの山に来たのか」 霧が深くどこへも行けずイライラするブラックジャック。 そして遭難してから23日。救助隊が到着する。 娘はすでに死亡していた。病院に搬送されるブラックジャック。 娘の死体は何カ所かが明らかに食べられていた。ブラックジャックの食人行為を あらゆるメディアが取り上げ痛烈に批判する。 生きている人間はどのようにしても生き抜かねばならないのだと叫ぶブラックジャック。 (ブラックジャック 「霧」 単行本未収録)