2004/02/08 (日) 03:08:17        [mirai]
ルネサンス時代以降に導入されたバラ,現代のバラの原種]
ルネサンス以降,主としてアジアの各地域からヨーロッパに導入された品種改良の
原種とされたバラには,次のようなものがある。 
(1)コウシンバラ(別名,長春花,長春,月季花)R. chinensis Jacq.
(英名 China rose,Bengalrose) 常緑または半常緑の灌木。とげは少ない。
小葉は3~5枚。花は八重または半八重で,桃色または深紅色,まれに白色。
四季咲性。中国西部に野生化している。2n=14,21,28。
(2)ローザ・フォエティダ R. foetida Herrm.(=R. lutea Mill.)
(英名 Austrian briar) 小葉は5~9枚。花は濃黄色で,単生する。
イラン,イラク,アフガニスタン原産で,1542年ころヨーロッパに導入された。
2n=14,28。花弁の表が鮮やかな朱色のものを var.bicolor Willm. といい,
これが後年,現在のバラの黄色,かば色,朱色,花弁の表裏変色のもととなった。
(3)ローザ・オドラータ R. odorata Sweet(英名 tea rose)
つる性または半つる性で,小葉は5~7枚で,照葉(てりは)。
花は単生か2~3個頂生し,白色や淡いピンク色など。中国西部に点在し,
交雑された種で,園芸品種と考えられる。1768年から1810年にかけて
ヨーロッパに入り,ティー・ローズの母種となった。2n=14。
(4)ローザ・ギガンテア R. gigantea Collett et Hemsl. 
つる性で,花は乳白色または黄色。中国南西部に自生する。2n=14。
(5)モッコウバラ R. banksiae R. Br.(英名 Bank’s rose) 
常緑のつる性で,とげは少ない。小葉は3~5枚。花は小輪で白か黄色。
中国西部~中部に自生し,19世紀にヨーロッパに紹介された。2n=14。
以上の種のほかに,日本にも自生するノイバラの多花性と強健性,
テリハノイバラのつる性と耐寒性,ハマナスの美しさなどが
近代の品種改良におおいに貢献した。