> 2004/02/11 (水) 05:31:23 ◆ ▼ ◇ [mirai]> > きこえなーい( 'ー')
> 一度アニメって物を見てみたかったのよ、なんて。さすが祥子さま、言うことが違う。
> 趣味といえばイコールアニメ、っていう感覚の祐巳とは大違いだ。
> まあね。もともとアニメってオタクの自己満足だった、って聞いたことがあるから、お
> 金持ちのお嬢さまにはご縁がない物かもしれないけれど。
> そんなお嬢さまをこっちの世界に染めちゃっていいものかどうか祐巳が思案しているう
> ちに、祥子さまはさっさと店の中に入っていった。
> 「祐巳、ぶつぶつ独り言いっていないで案内してちょうだい」
> 「は、はい」
> 祐巳は腹をくくった。コスプレショップを克服したのだから、アニメショップだって構
> わないだろう。しかしドール専門店とか言われたら、それだけは断固断ろうと思う。あそ
> こは祐巳だってテリトリー外だ。
> 「アニメショップって、本とか小物とかも売っているのね」
> ゆっくり奥に向かって進みながら、興奮気味に祥子さまがつぶやく。
> (本当に初体験なんだなぁ……)
> でも近頃は専門店といっても、そればかりしか売っていないお店って珍しいと思う。○
> ○バーガーや××チキンという名前のファーストフードだって、ポテトや飲み物売ってい
> るし。CDショップではカセットテープやビデオテープ、お肉屋さんではソースを売って
> いたりもする。――ちょっと脱線しちゃった。
> 「買い物を干渉されないのはいいわね」
> 祥子さまは歩きながら、買い物客が店内の商品を目の色を変えて物色するようすを見て
> 感心する。そういえば、先のコスプレショップでのウインドウ・ショッピングでは、商品
> を手に取ろうものならすかさず店員さんがやって来て素材の説明をしたり試着させようと
> したりするお店が多かったから、こういうのがかえって新鮮なのかもしれない。アニメシ
> ョップの店員さんは、あまりお客さんにつきまとったりしない。ぐるり見渡してみても、
> レジ係の他は、せっせと品物を並べているか、POP書きしているかどっちかだ。
> 「これだけある中で、どうやって自分が欲しいアニメを見つけられるの?」
> 祥子さまはその品揃えの多さに怯んでいた。それもそのはず、その店は奥のスペースが
> すべてアニメの棚で占められていて生半可な量じゃない。多少実写ビデオが混じっていて
> も、そのほとんどは似通った絵柄である。
> 「……私、自信がなくなってきたわ」
> 畳んであれば、尚更わからない。こういう時にこそ、声をかけてくれる店員さんの存在
> がありがたいのに。
> 不安げに、祥子さまは辺りを見回した。
> 店内は賑やかだった。軽いアニソンと沈んだ客同士の会話、日曜の午後のショッピング
> を楽しむ若者や中年男性。
> (まずい)
> 祐巳は気づいた。祥子さまは落ち込みかけている。初コスプレショップは何とか無難に
> やり過ごすことができたからよかったが、初アニメショップでうまく買い物ができなかっ
> たりしたら、今後のオタク人生に大きく響くのではないだろうか。トラウマ、っていうの?
> それは困る。
> 「しっかりしてください、お姉さま。私がついていますから」
> 祐巳は祥子さまの両手を自分の両手で握って、励ました。ここは妹の自分が何とかしま
> しょう、と。
> 「……祐巳」
> 「ここにはたくさんありますけれど、でもお姉さまにピッタリの作品は限られています。
> まず、全年齢向けの棚以外は見なくていいです。それにロボットモノと子供向けは除外し
> ましょう。」
> 手を引いて、女の子のイラストが描いてあるコーナーに連れていく。
> 「はい。これで品物が半分以下になりました」
> それを聞いて、祥子さまは少しホッとしたような顔をした。よかった。さっきは、乗り
> 物酔いした人みたいな顔色していたから。
> 「で、好きな監督や声優を選んで、自分にあった作品を買えばいいんです」
> 祥子さまだったら何十万円もするレア物なんかも買えるだろうけれど、この際無視。今
> は、できるだけ迷わせないことが大切だ。
> 「好きな声優……?」
> 「えっと。池澤春菜とか、豊口めぐみとか、能登麻美子とか。ほかには…ええと、簡単にい
> うと、そういうことです」
> 他にも井上喜久子とか色々あるけれど、全部省略。初心者にあまりたくさん言うと、頭
> が爆発しちゃうだろうから。
> 「祐巳のは」
> 「は?」
> 「今、祐巳のが好きなの。そういうのがいいわ」
> 「えっ!ギャラエンですか!?」
長文UZEEEEEEEE
参考:2004/02/11(水)05時27分53秒