2004/02/22 (日) 15:06:47 ◆ ▼ ◇ [mirai]昔、昔、山を越え、峠を越え、人里離れた山の奥に、赤鬼と青鬼が住んでいま
した。赤鬼は人間の子供が大好きで、いつもどうやったら友達になれるか考え
ていました。
赤鬼「僕はやさしい赤鬼なのにどうしてみんな遊びに来ないのかな。おいしい
お菓子と飲み物を用意するのに。」
青鬼「ねえ、赤鬼君、そんなに子供たちと友達になりたいのかい。」
赤鬼「うん、友達になりたいよ。」
青鬼「じゃあ、いい考えがあるんだ。ちょっと耳を貸してごらん。」
赤鬼「うんん」
青鬼「そうして」
赤鬼「うん」
青鬼「どうだい。」
赤鬼「うん。うん。」
青鬼「わかったかい。じゃ、ひと風呂浴びに行こうか。」
(翌日、子供たちが森の中で遊んでいました。)
子供「かくれんぼするものこの指止まれ。お手玉、石蹴り、何でもあるよ。み
んなお出でよ。遊ぼうよ。」
青鬼「ワアー、ワアー、ワアー。うるさいぞ。俺さまが体操する時間だ。あっ
ちへ行け。一、二、三、四、ワアー、ワアー、ワアー、五、六、七、八、ワ
アー、ワアー、ワアー」
子供「助けて」
赤鬼「ワアー、ワアー、ワアー。悪い青鬼。直ぐに体操を止めろ、さもないと
こうしてやるぞ。一、二、三、四、エイ、エイ、エイ、五、六、七、八、エ
イ、エイ、エイ」
青鬼「ごめん。ごめん。許して。強い赤鬼さん。もう二度としないから許し
て。」
赤鬼「安心しなさい。子供たち。悪い青鬼もういない。山に帰っていった。」
子供「赤鬼さん、ありがとう。悪い青鬼をやっつけた強くてやさしい赤鬼さ
ん。赤鬼さん一緒に遊びましょう。かくれんぼの鬼になってくれる。」
赤鬼「本当にいいの。」
子供「いいよ。」
(みんな楽しく遊び、一番星が出てきます。)
子供「一番星が出てきました。お家に帰る時間です。おやすみ赤鬼さん。また
明日。おやすみ、みんな。また明日。」
赤鬼「みんな家に帰ってしまったなあ。とっても楽しかったなあ。おやすみ子
供たち。また明日。さて、青鬼君はどうしているかな。おや、こんな所に手紙
が落ちている」
手紙「親愛なる赤鬼くんへ。もし君が悪い青鬼の友達とわかったら、子供たち
は君から逃げてしまうでしょう。だから僕はもう君には会いません。一人遠く
へ行きます。どうか子供たちと仲良く暮らしてください。さようなら。青鬼よ
り。」
赤鬼「ああ、青鬼くんが行ってしまった。あんないい友達だったのに。行って
しまった。」
赤鬼くんと青鬼くんは二度と会うことはありませんでした。