駆け足で、って言ったじゃない。ほら、置いていくわよ」 笑いながら、走っていく。距離は広がる一方だ。 「そんな無茶苦茶な」 仕方なく、志摩子も走り出した。普段ならば、絶対にしない行為である。 「|廊《ろう》|下《か》は走らず」は幼稚舎から続いた基本的な規則だった。 これおかしいよな、志摩子さんは中学からの入学だろ