2004/03/12 (金) 12:00:01        [mirai]
「しっかりしてください、お姉さま。私がついていますから」
 祐巳は祥子さまの両手を自分の両手で握って、励ました。ここは妹の自分が何とかしま
しょう、と。
「……祐巳」
「ここにはたくさんありますけれど、でもお姉さまにピッタリの作品は限られています。
まず、全年齢向けの棚以外は見なくていいです。それにロボットモノと子供向けは除外し
ましょう。」
 手を引いて、女の子のイラストが描いてあるコーナーに連れていく。
「はい。これで品物が半分以下になりました」
 それを聞いて、祥子さまは少しホッとしたような顔をした。よかった。さっきは、乗り
物酔いした人みたいな顔色していたから。
「で、好きな監督や声優を選んで、自分にあった作品を買えばいいんです」
 祥子さまだったら何十万円もするレア物なんかも買えるだろうけれど、この際無視。今
は、できるだけ迷わせないことが大切だ。
「好きな声優……?」
「えっと。池澤春菜とか、豊口めぐみとか、能登麻美子とか。ほかには…ええと、簡単にい
うと、そういうことです」
 他にも井上喜久子とか色々あるけれど、全部省略。初心者にあまりたくさん言うと、頭
が爆発しちゃうだろうから。
「祐巳のは」
「は?」
「今、祐巳が好きなの。そういうのがいいわ」
「えっ!ギャラエンですか!?」