「世話になった」 と言った。それ以上の言葉はただの嗚咽にしかならないと思った。 「泣くな!」 そう言ったお袋の声が震えていて、俺は振り向けなかった。 「世話になったね!」 怒ったように言い捨てて、俺は歩き出した。 親父とお袋の視線を俺はずっと背中に感じていた。 辻の果てで耐え切れなくなって振り向いた。 親父とお袋はしきりに手を振っていた。 「半年間ありがとう!」