「由綺、出番が近くて見れなかったけど、調子はどうだったの?」 理奈は隣に立つ由綺に問い掛けた。 「う、うん。自分でも不思議なぐらい、落ち着いて歌えた。」 由綺はその言葉とは裏腹に、緊張した面持ちで、正面の客席を見ている。 無理もない。 いよいよ、この一年自分がやってきた事に対して評価が下されるのだ。 「彼のおかげね?」 うん、と由綺はちょっと頬を赤くして頷く。