眠れる“横浜”を起こしたのは皮肉にも阪神だった。
「バントばかりで怖くない横浜が最下位になるだろう」。
ある新聞に阪神・平田守備走塁コーチの発言がこう掲載された。
発見した黒江ヘッドはすぐさま記事を切り抜き、この日のミーティングで選手に伝えて発奮をうながした。
そのバントが先制の突破口になった。３回、金城が捕手の山田の前へのバント安打で出塁すると、
佐伯もノーサインで初球を投手の右へ転がした。阪神の守りを揺さぶる連続内野安打。
これが鈴木尚、谷繁の適時打を呼び込んだ。「平田さんに勝たせてもらったようなもの」と黒江ヘッドは目尻を下げた。
これまで１勝４敗と苦手にしていた野村阪神。その天敵からもらった白星に、森監督も笑いが止まらなかった。