2001/05/11 (金) 05:07:51        [mirai]
■第3話 「つらい現実」

しばは友人のつてをたどって、出版業界大手の
講談社「週刊現代」編集部を訪れた。
「あ、あの、宮田さんの知り合いのしばと申しますが」
「少々お待ちください。」
受付で待つこと3分、宮田はやってきた。
「やぁしばくん。」
「宮田さん・・。」
「どったの?今日は。」
「あ、あの仕事をいただきたくて。」
「仕事、あ、ああうん。こほん。ま、とりあえずサテンでも行こう」
「は、はい。」
宮田としばはちかくの喫茶に移動した。
「仕事?君、確か会社員じゃなかったっけ?」
「昨日、やめたんです。ライターになるために」
「ぶほっ本当?」
「はい。妻にも了承を得ました。」
この時、宮田は思った。
(参ったな。こいつ、俺のこと頼りに来てやがる。たしかに
二ヶ月前、飲みに行ったとき「君ならうちのライターやれるよ」
なんて言っちまったが、まさか本気にするとはな。)
宮田としばは大学時代の先輩後輩の中である。
「ま、しばくん、俺も仕事さがしてやるよ。」
「そうですか!よろしくお願いします!」
「ちょっと待っててよ。なんか見つけてあげるからさ」
「ありがとうございます!」
しかし、宮田は思った。
(参ったな。こいつがうちに書ける文章なんてねーよ。
はぁぁったく勝手に人をあてにしないでほしいよ。
さっきデスクになじられた後だってのに)

   次回予告

どこからも仕事がないしば。
しかし、やすらぎは繭の無邪気な笑顔だった。