2001/05/11 (金) 05:13:21        [mirai]
■第4話 「天使の微笑み」

何も仕事が見つからない日々が続いた。
ありとあらゆる人脈を駆使し、仕事をもらおうとしたが
どこにも断られた。
「ちくしょう、出版不況がこんなに進んでいたなんて!」
しばはネット上では確かに有名人かもしれないが、
現実社会、世間一般では無名に近い。また、37という彼の
年齢も足かせになっている。
「あなた・・・。」
みずかは夫に対してかける言葉もなかった。
「このままじゃ・・・なんで会社やめてまでライターになったのか
わかんねぇな・・・。」
しばは悲痛な表情でボソッと言った。
失業保険はあと3か月。その間に仕事を見つけなければ
一家心中である。
「ちくしょう!」
バン!
しばはテーブルを強く叩いた。湯飲みが倒れる。
「ちくしょう・・・。」
「あなた・・・。」
そこへ、ふすまが開いた。
「みゅ・・・。」
「繭・・・」
目をこすりながら隣で寝ていた繭がこっちの部屋に来た。
「ごめんね、繭起こしちゃって。なんでもないのよ。さっ
お布団にもどろうね。」
「みゅー。」
「繭・・・」
しばは繭の顔を見るなり、繭に抱き着いた。
「繭!」
「ふえ?」
「パパは、パパはがんばるからな!お前とみずかのために!」
「あなた・・・。ううっ・・。」
「ぱ、ぱ・・・?」
「仕事が入ってお金になったら、腹いっぱいハンバーガー
食べさせてやるからな!繭!」
「うん♪」
繭の顔が笑顔になった。
そんな繭をしばは強く抱きしめた。

    次回予告

しばの元へ朗報が入る。