2004/03/29 (月) 13:43:06        [mirai]
本店のログ 実話っぽくて怖いお話

「お帰り。遅かっ……!」 
 帰ってきた妹の姿に、僕は絶句する。 
 兄の僕が見てもドキッとするぐらいきれいな顔は殴られたような痣ができ、母さんゆずりの塗れたよ 
うな黒髪は乱れてゴミが巻きついている。服は胸元から引き裂かれ、それを何とか手で押さえてつな 
ぎとめているような状態だった。 
「な、なにがあったんだ!? いったい、どうして!?」 
 おそらく、僕の顔は真っ青になっていたと思う。もう、頭がめちゃくちゃになって、何をどうして良いか 
わからない。とにかく、目の前の妹の姿が信じられなかった。 
「まだ起きてたんだ。寝てればよかったのに……」 
 妹の声は、いつもと変わらぬ平坦な口調だった。それが僕にはたまらなく辛い。 
「そんなことより、一体何があったんだ? お兄ちゃんに言ってくれ!」 
「……肩、痛いんだけど」 
 僕は無意識に掴んでいた妹の肩から、手をあわててはずす。 
「邪魔だからどいてくれない? あなたには関係ないことだから」 
 まるで道端の石ころでも見るような視線に押され、僕は妹に道をあける。 
 妹は何事もなかったかのように僕の目の前を横切ると、そのまま浴室へと入っていった。それから 
間もなくシャワーの立てる音を聞きながら、僕はいまだに玄関の前から動けずにいた。 
 なぜなら僕は天地がひっくり返ったような衝撃に我を忘れていたのだ。 
 それは妹が僕の前を横切ったときに、かすかに嗅いだ臭いのせい。 
 僕が妹がいないときを見計らってする、いけない行為の後に良く嗅ぐ臭い。 
 それは出されたばかりの精液の臭いだった。