昔は腰まで届く長い髪の持ち主じゃった。そうそう、それはある冬のことじゃ。 雪山で行き倒れていた所を村人に助けられて、九死に一生を得た恩返しに、 「見てはいけません」 と言っては旗織り機の前で、髪の毛をプツン・プツンと一本づつ抜きながら、織物 をしたもんじゃった。織り上がる頃には、頭に髪の毛は無く、ツルツルになってし もたんじゃ。