【汐】「…パパ」 いつの間にか、汐が目を覚ましていた。 苦しげに、俺の顔を見上げていた。 【朋也】「どうした…」 【汐】「…いま、どこ」 【朋也】「………」 【汐】「…もう、れっしゃのなか…?」 【朋也】「………」 【朋也】「あ… ああ」 【朋也】「もう列車の中だ…」 【汐】「…そ」 【朋也】「………」 【汐】「………」 【汐】「…パパ」 【朋也】「なんだ…」 【汐】「… だいすき…」 【朋也】「………」 涙が溢れて… 止めることができなかった。 【朋也】「ああ…」 【朋也】「パパもだ…」 ………。 しんしんと雪は降り続けた。 永遠の時を、刻み続けた。 指先から感覚が消え… 視界が閉ざされていく… 町が消えていく…。 それは幻想的な光景で… 自分がどこにいるのかも、わからなくなって… ………