【朋也】「早苗さん…」 【朋也】「もう、いいですよ、早苗さん…」 【早苗】「まだ…」 【早苗】「居るんですよね…風子ちゃんは…」 【朋也】「ええ…います。俺のそばに」 【早苗】「風子ちゃん…」 【早苗】「風子ちゃん、きてください」 風子が寄っていく。 早苗さんは、風子の体を抱こうと腕を伸ばす。 が、その腕は風子の体を通り過ぎた。 それでも、早苗さんは、何もない空間を抱きしめ続けた。 【早苗】「風子ちゃん…」 【早苗】「ずっと、この家にいてもいいですからね…」 【早苗】「秋生さんも、わたしも、渚も…」 【早苗】「みんな、風子ちゃんのこと、家族だと思ってます」 【早苗】「ずっと…いてくださいね…」 【風子】「………」 風子が微笑む。 優しさに包まれて。 なんて、この家は優しかったのだろう。 でも、もう…潮時だと思った。