>  2004/05/09 (日) 15:47:04        [mirai]
> ことみの瞳が、凍りついたように、それを見つめていた。
> 自分が見ているものを、信じられずにいた。
> 長い毛皮は薄汚れてはいるが、たしかにくまのぬいぐるみだった。
> それはとても人懐っこく、抱きあげられるのを待っているように見えた。
> ぬいぐるみと鞄の隙間に、一枚の紙が入っていた。
> それに気づくと、ことみは指でそっと引き出した。
> 鞄に入りこんでいたらしい砂が、ばらばらとこぼれた。
> 紙と思ったものは、きちんと封をされた洋形の封筒だった。
> ひどく色褪せ、汚れ、くしゃくしゃになっていた。
> 俺たちは、ことみの肩口からいっせいにそれを覗きこんだ。
> そこには、こう書かれてた。
>  If you find this suitcase,
>  please take it to our daughter.
>  K&M Ich
> 柔らかな鉛筆を使ったらしい、走り書きの筆記体だった。
> よほど急いでいたのか、最後の署名は途中で途切れていた。

急いでかいたわりには他の言語でも書いているのな

そんな暇があったら住所をかけよ

参考:2004/05/09(日)15時45分40秒