>  投稿者:地蔵 2004/05/09 (日) 15:48:21        [mirai]
> > ことみの瞳が、凍りついたように、それを見つめていた。
> > 自分が見ているものを、信じられずにいた。
> > 長い毛皮は薄汚れてはいるが、たしかにくまのぬいぐるみだった。
> > それはとても人懐っこく、抱きあげられるのを待っているように見えた。
> > ぬいぐるみと鞄の隙間に、一枚の紙が入っていた。
> > それに気づくと、ことみは指でそっと引き出した。
> > 鞄に入りこんでいたらしい砂が、ばらばらとこぼれた。
> > 紙と思ったものは、きちんと封をされた洋形の封筒だった。
> > ひどく色褪せ、汚れ、くしゃくしゃになっていた。
> > 俺たちは、ことみの肩口からいっせいにそれを覗きこんだ。
> > そこには、こう書かれてた。
> >  If you find this suitcase,
> >  please take it to our daughter.
> >  K&M Ich
> > 柔らかな鉛筆を使ったらしい、走り書きの筆記体だった。
> > よほど急いでいたのか、最後の署名は途中で途切れていた。
> 急いでかいたわりには他の言語でも書いているのな
> そんな暇があったら住所をかけよ

あれはかばんを拾った人が自分の国の言語で書き足してくれたんじゃないのか

参考:2004/05/09(日)15時47分04秒