2004/07/06 (火) 04:11:22 ◆ ▼ ◇ [mirai] 昭和六四年一月四日、被告人Aは、前夜来から当日早朝にかけて行った賭
け麻雀に大敗した後、被告人D方に赴いたところ、被告人B、同Cらが被告
人Dと共に居合わせた。被告人らは、同所でファミコンゲームなどをして遊
んだが、被告人Aは、麻雀に負けた鬱憤をEへのいじめによって晴らそうと
考え、「久し振りに、Eをいじめに行くか」などと言い出し、まず、被告人
C、同Dを先に被告人C方へ行かせ、若干遅れて被告人Bと共に自らも被告
人C方へ赴いた。被告人らは、このようにして相前後して、被告人C方に集
まったが、Eは、被告人らの暴行等により変形するほどに顔が腫れ上り、手
足等の一部は焼け爛れて化膿し、栄養障害に陥り、極度の衰弱状態で横臥し
ていた。
被告人A、同B、同Cは、午前八時ころから、被告人Cの居室において、
Eに対し、B羊羹を与え、これは何だと問い、被害者がB羊羹と答えると、
何でBを呼び捨てにするんだなどと因縁をつけ、再び同様の質問をし、Eが
B羊羮さんと答えると、何で羊羮にさんをつけるんだなどと詰り、Eへのい
じめを開始し、被告人A、同B、同Cにおいて、Eに対し、顔面等を多数回
にわたり手拳で殴打し、背部を足蹴りするなどの暴行を加え、被告人A、同
Bにおいて、被告人Aがいじめの小道具に買い求めていた蝋燭に点火し、E
の顔面に蝋を垂らして、顔一面を蝋で覆いつくし、両眼瞼に火のついたまま
の短くなった蝋燭を立てるなどして打ち興じたが、Eは、これに対して、ほ
とんど反応を示さず、されるがままになっていた。被告人Dは、右暴行の始
め、Fと共に隣室にいたが、このころ被告人Aの指示を受けた被告人Cに呼
ばれて、同被告人の室へ入り、他の被告人らと合流した。被告人Aは、衰弱
して自力で階下の便所へ行くこともできないEが、飲料パックに排出した尿
のことについて、わざと、「やばいよ、そんなものを飲んじゃあ」などと言
って、被告人B、同Cらに対し、暗にEに右尿を飲ませるよう示唆し、これ
を受けて被告人B、同Cらは、Eに、飲めと強く言って、右パック内の尿を
ストローで飲ませた。次いで、被告人B、同Cが、Eの顔面を回し蹴りし、
Eが倒れると無理やり引き起こして、更に蹴りつけるなどしたところ、Eが
何ら身を守ろうとしないうえ、不意に転倒して室内のステレオにぶつかり痙
攣を起こすなどした。
被告人らは、遅くとも、このころまでには、このまま暴行を加え続ければ
Eが死亡するかも知れないことを認識したが、その後も、Eが死に至ること
の危険を認識しながら、被告人B、同Cにおいて、転倒したEを殴打し、蹴
りつけるなどしたのを始めとして、更に、Eに対し、以下のような激しい暴
行を加え続け、そのため、Eは鼻口部から出血し、崩れた火傷の傷から血膿
が出、血が室内に飛び散るなど凄惨な状況となった。
被告人Dは、素手では、血で手が汚れると考え、ビニール袋で拳を覆い、
ガムテープでこれを留めたうえ、手拳でEの腹部、肩などを力まかせに数十
回強打し、被告人A、同B、同Cらもこれに倣って、拳をビニール袋で包
み、次々にEの顔面、腹部、太腿部等を手拳で殴打し、足蹴りするなどし、
更に、被告人Aが、鉄球を含む総重量が約一・七四キログラムもあるキック
ボクシング練習器の鉄製脚部を持ち出し、その鉄球部分でゴルフスイングの
要領でEの太腿部等を力まかせに多数回にわたり殴打し、被告人B、同C、
同Dらも、これに倣ってこもごもEの太腿部等を右鉄球で数十回殴打し、被
告人Dは、肩の高さから右鉄球をEの腹部めがけて二、三回落下させた。被
告人Aは、繰り返し揮発性油をEの太腿部等に注ぎ、ライターで火を点ける
などしたが、Eは、最初は手で火を消そうとするしぐさをしたものの、やが
て、ほとんど反応を示すこともなくなり、ぐったりとして横臥したままにな
った。
右の一連の暴行は、当日の午前八時ころから同一〇時ころまで、約二時間
にわたって間断なく続けられた。このようにして、被告人らは、Eに原判示
のとおりの重篤な傷害を負わせ、そのころから、同日午後一〇時ころまでの
間に、原判示の経過で、Eを死亡させて殺害した。