2004/07/08 (木) 07:02:55 ◆ ▼ ◇ [mirai] グループサウンド全盛期にはアングラブームというのがあった。
アングラとはアンダーグラウンドのことである。ここで現在のインディーズ
シーンや高田渡らに代表される社会派ハード・フォーク、若しくは反戦とか
反原発とかそういう言葉が浮かんだ人はすぱっと切り捨てて下さい。グルー
プサウンズでいうアングラとは即ちムシ声入りコミックソングということに
集約されてしまう。フォーククルセダーズの「帰ってきたヨッパライ」で始
まりダーツの「ケメ子の歌」で最高潮に達し、そのままあっさりと潰れたア
ングラブームだが、その傷跡は凄まじく各社とも殆ど例外なくアングラ路線
の楽曲をリリースしている。テイチクもその例外ではなく、フィフィザフリ
ーが「おやじのロック」、ワンダースが「僕のマリア」、アイドラースが「
タコにゃ骨がない」といった作品を次々送り出したのだが、その中でも終わ
ってみたら正規発売されたキャリアの全てがコミックソングだったという壮
絶なバンド経歴を残したのがこのイーグルスである。
イーグルスは昭和41年に東京・日野の高校生によって結成されたチェック
メイツがその前身である。立川のジャズ喫茶「ドミノ」にレギュラー出演し
ていた。やがてこのアングラブームに乗ろうとしていたテイチク邦楽制作部
のスタッフの目に留まり、ユニオンAH品番(邦楽制作担当)から43年4
月に「昭和二世」デビューした。この際、改名されイーグルスというバンド
名となったが、この時にはメンバーの多くは大学生であった。続いてオムニ
バスアルバム「アングラカーニバル」に参加したが、これは事実上彼らのア
ルバムのようなものであり、会社側からの要請と本人たちの真っ当なグルー
プサウンズとしての意地がぶつかり合って奇妙な魅力を発散している。結局
デビューした時点でアングラブームは既に去っており、これらのレコードで
は成功を収めることは出来ず、すぐに解散してしまった。なお、チェックメ
イツ時代には「雨の夜の想い出」というオリジナルもあったという。
このバンドの魅力はなんといっても米国ガレージに通ずる妙なビート感と若
さとう言葉がぴったりと来るファズギターの快活さに尽きるだろう。確かに
歌詞はしょうもないかもしれないが、それでくだらないと言って切って捨て
てしまうのは惜しすぎる。それだけの真摯さがこのバンドの演奏には溢れて
いる。
なお、「アングラ・カーニバル」は当時珍しくリアルタイムで海外で発売さ
れたレコードなのだが、あまり知られていないように思われる。それにして
もこれを聴いた台湾人には意味が分かったんだろうか