いくつかの水たまりを残して 梅雨が駆け抜けてしまえば しめった風の背中越しに 君の好きな夏が来ます あの日君にせがまれて出掛けた小さなお祭り 綿菓子の味 アセチレンの光 君は赤いほおづきを買った ため息で回したひとつの風車 止まらずに 止まらずに 回れと二人祈っていたのに 君の下駄の鼻緒が切れた 人混みにまかれて切れた ぼくの肩にすがりうつむいた君は 怯えるように涙をこぼした