2004/08/12 (木) 21:17:34        [mirai]
馬朱麻呂通信(ましゅまろつうしん)

中国は隋の時代、遣隋使である阿倍馬朱麻呂(あべのましゅまろ)が、
帰郷の際に船上で故郷の日本に送った通信(中国語で手紙の意)が由来である。
そこには以下のような漢詩が残されていた。

巣派移巣奇異輝(すぱいすきいてる)
巣空符出絵鰤泥(すくうぷでえぶりでい)
笑話施手大隙堕世(わらわせてだいすきだよ)
君都今己野街野(きみといまこのまちの)
入巣二南流(にゅうすになる)

大意:
巣(家の意)から巣へと派遣され移される我が身。その人生は奇異だが輝いている。
隋を出て空けてきた巣には、泥に潜る鰤を描いた絵を書いた符を置いてきた。
それも今となっては笑い話だ。全くこの世は手の施しようが無いほど隙だらけで堕落している。
君と己で今、都に野に街に行こうか。
二人して南に流れ、新たな巣に入ろうか。

まことに奇異なことだが、この通信を送った後、馬朱麻呂の乗った船は嵐に遭った。
日本には戻れなかったのである。日本に戻る事を断念した馬朱麻呂は、中国風に賛泥(さんでい)と
名前を改め、従者である蔵人(くらうど)とともに流浪の旅に入ったという。その後の消息については明らかになっていない。
世をはかなんだ馬朱麻呂が、自らの未来を予知し、詩にしたためていたのではないかとも解釈されている。

民明書房刊「遣隋使は超能力集団だった」