2004/08/12 (木) 22:00:05        [mirai]
空はどこまでも青く晴れ渡っていた。
眼下のタイガ(針葉樹林帯)は赤や金色の紅葉が始まっていた。
1978年9月6日午後零時50分。ベレンコ(29歳)は、ソ連空軍の誇る最新鋭
戦闘機ミグ25でウラジオストクの北東190キロ、チェグエフカにある513空軍
基地を離陸した。

5分後、高度7、200メートルに到達。訓練空域には、数機の友軍機がいた。
「今ならまだ引き返せる」との思いが頭をよぎったが、地上のレーダーに感づかれな
いようにゆっくりと高度を5、800メートルに下げ、次の瞬間操縦かんを思い切り
前に倒し、急降下した。
地表がぐんぐん迫る。高度30メートルの超低空飛行で2分後、日本海に出た。この
間「操縦不能」の緊急信号を40秒間出し続けた。次に無線のスイッチを切った。
「これで基地は墜落したと思って大騒ぎだ」