2004/08/12 (木) 22:03:46        [mirai]
だが、北海道西部を横切って噴火湾に出てもファントムは現れない。燃料切れを知ら
せる警告が鳴った。「着陸地点が見つからなければ、墜落だ」
機体を旋回させ、高度を下げて雲の下に出た。整然と並んだ函館の街並みが見えた。
「函館だ!」ロシアの荒々しい自然とあまりにも対照的な美しさ。

滑走路を懸命に探す。「あった!」が、短い。
しかも民間機が離陸しようとしていた。迂回すると燃料が持たない。
墜落の恐怖が過ぎる。民間機をやり過ごし、滑走路に突っ込んだ。
「ミグよ、壊れないでくれ!これはアメリカ亡命への手土産なんだ!」

ブレーキが悲鳴をあげ、煙が上がる。すさまじい振動。
250メートルもオーバーランし、ようやく機体が止まった。
離陸してから1時間が過ぎていた。