ミグの残量燃料が30秒分、紙一重で墜落を免れた。 時計の針は午後2時近くを指していた。 「不思議と感動は無かった。とにかく亡命の意志を伝えるのにアメリカ人を探そうと 思った」 ベレンコは酸素マスクを外し、地上に降りた。 近づいてきた日本人の男性がカメラを向けた。米国への手土産である最新鋭戦闘機の 重大機密が漏れる-とも思いが頭を過ぎる。 腰からピストルを抜き空似向けて1発撃った。 男性が自ら抜き取ったフィルムを受け取った。