続いて白旗を掲げた日本人数人がやってきた。年配の男性がロシア語でピストルをよ こせというので、サバイバルナイフと一緒に手渡した。 連れて行かれた空港ターミナルで、ロシア語を流暢に話す日本人から「迷子になった のか?」と聞かれた。 「いや、自分の意志で飛んできた。亡命したい。すぐに戦闘機を隠して欲しい」 米国亡命を求める英文のメモを託した。 その夜、函館のホテルで日本の外務省職員に、「パラシュートや自分の服を海に捨て て墜落したように見せかけて欲しい」と話すと、彼は一瞬けげんな顔をした。 「すでに世界中があなたの亡命を知っている。ソ連は大変な圧力をかけてきた。でも 心配は無用です。あなたを返す事はわが国の民主主義に反しますから。」きっぱり と言った。救われた思いだった。ソ連に帰ればシベリア送りだろう。自分はこれか らどうなるのか?