うちの後ろの茶々の木に 雀が三羽来てとまる 一羽の雀が言うことにゃ うちの座敷も狭(せば)座敷 おまえの座敷も狭座敷 畳三枚 ござ三枚 合わせて六枚敷きつめて しっぽりかっぽり泣かしゃんす 何が不足で泣かしゃんす 何だり不足はないだども わしが弟の千松が 西の川原へ金(かね)掘りに 一年待ってもまだもどらん 二年たってもまだもどらん 三年ぶりのついたちに 人をごせとて状が来て人はやらんがわしが行く 後の田地はどうなさる 後の田地は金にして 親に三貫 子に五貫 四十五貫の銭金(ぜにかね)は高い米買うて船に積む 安い米買うて船に積む さあさ押せ押せ都まで 都もどりに何もろた 一に簪(かんざし) 二に鏡 三に更紗(さらさ)の帯もろた くけてくだされ叔母ごさま くけてやろうと思えども 帯にゃ短し襷(たすき)にゃ長し 山田薬師の鐘の緒 鐘の緒