2025/05/30 (金) 19:05:22        [misao]
「不親切な傑作青春映画」トラペジウム むらさめさんの映画レビュー(ネタバレ) - 映画.com
https://eiga.com/movie/100876/review/04012382/

見落としやすい要素で一番大きなものは、クライマックスの展開『アイドル
に巻き込まれた他三人、特に大河くるみは、なぜ主人公東ゆうを許したのか?』
であろう。
大河くるみは抜群に可愛いが人見知りで注目されるのが苦手なロボ好きの少
女だ。そんな彼女がアイドルをやったらどうなるかなんて火を見るよりも明
らかで、実際彼女は限界まで追い込まれグループ崩壊のきっかけになった。
主人公に利用され、そんな酷い目に合ったのに、なぜ彼女は主人公を許せる
のか?彼女は聖人なのか?それとも主人公に都合がいいだけの薄いキャラな
のか?
その答えは、一度立ち止まって大河くるみの視点で全体を見ればが分かる。
逆なのだ。『なぜひどい目に合ったのに許したか?』ではなく『なぜひどい
目に合うと分かっていてアイドルをやったのか?』だ。
彼女にとって東ゆうはとても都合がいい人物である。孤立していたときに都
合よく向こうからやって来て、初めての同性の友達になってくれた。もう一
人の友達を紹介して居場所を作ってくれた。行き詰っていたロボコンの試運
転をするプールを提供して最後まで付き合ってくれた。おかげで準優勝とい
う結果も出せた。そんな東ゆうがなにやらTVとアイドルに強い意欲を示して
いる。目立つのは苦手だが、嫌だったボランティアもこの4人でなら楽しかっ
た。ならTV出演もやってみてもいいかもしれない。
彼女は目的の達成も欲しかった普通の青春も東ゆうに貰っている。だから東
ゆうにやりたいことがあるなら手伝いたってあげたいと思うのは自然だ。先
に貰ったものを返そうとしたのだ。
本質的にアイドルに向いてない、興味もない大河くるみがアイドルをやる理
由なんて『東ゆうが、この4人の関係が好きだから』しかあり得ない。逆に
言えば、苦手なアイドルを限界まで続けられてしまうほど大好きな友だちな
のだから、アイドルに付き合いきれなかったことで友だちまで辞めるのはお
かしい。その程度で手放す仲ならそもそもアイドルなんてやってない。
──といった大河くるみの心の動きは作中の描写から読み取れる。読み取れ
るのだが、ロボコンのシーンは極少ない。TV出演後の心理は、南さんに漏ら
した言葉の足りない吐露と彼女の言動─例えばカメラを向けられたり知らな
い人に注目されると俯くけど、4人でのロケになると楽しそうにしていると
いった姿─から読み取る必要がある。また、明確な表現が少ない代わりに、
彼女らの心情を表す暗喩は表情、光り、背景や小物を使って豊富に用意され
ている。

いや、分かるかぁ!!


なるほどねえ(;´Д`)